インコネルへの小径ドリル加工


インコネル600は、Ni基耐熱耐食合金であり、航空・宇宙・自動車産業などの高温環境で使用される
熱伝導率が非常に低いため,切削温度が高温になりやすく,工具寿命が著しく悪い.工具との親和性は高く,溶着し凝着折損しやすい
インコネルに対する小径ドリル加工は非常に困難で,加工事例も少ない

被削材:インコネル600
使用工具:超硬ソリッド工具φ0.3
回転数:5000rpm(外周切削速度:0.15m/s)
送り速度:9.6mm/min(チップロード:0.96μm/rev)

@工具加工初期段階での超音波加工の効果

慣用ドリル加工の動画(4.7MB)】【超音波ドリル加工の動画(4.7MB)
ドリル加工の初期において,切削速度がゼロとなる工具中心,すなわちチゼルエッジが被削材に接触する.
インコネルのドリル加工において,慣用加工では切削が行われず,約80μmのずれを生じた後に加工が始める.
この状態は,チゼルエッジの摩耗を加速させる.
また,ずれは穴位置誤差になるだけでなく,ドリルが曲がったまま加工が進むので,出口側での穴位置のずれは大きくなる.
また,このような曲げ応力は工具折損に直結する.
一方,超音波加工においては,工具のずれは生じないことが明らかである.


A加工された穴および工具摩耗の評価
穴深さ:1mm × 10穴加工
ステップ送り:0.1mm

超音波振動振幅:1.5μm
クーラント:不水溶性(ユニカットジネン) 加工前塗布

ホルダー 4N0227-2
振れ回り:3μm以下