◆駆動原理◆
Principle of non-contact transportation
搬送品は、静圧テーブルによって非接触で支持されます。一方、搬送装置上面には、弾性たわみ進行波が発生する弾性ステータおよび進行波を励起するアクチュエータで構成される搬送ユニットが配置されます。アクチュエータ1および2の空間的位置および駆動信号の時間的位相差を適当に設定することで、たわみ進行波の伝搬方向や定在波比を自由に制御できます。そして、たわみ進行波によって、基板と弾性振動板の間には音響粘性流が励起し、スラスト力が基板に非接触伝達されます。この結果、完全非接触搬送を実現でき、搬送される基板の破損、汚損の可能性がゼロとなります。
この機構の最大の特長は、完全非接触を非常にシンプルな構成で実現可能なことである。すなわち、従来の接触式搬送法においては、多数使用されている搬送ローラのメンテナンスや位置調整が、搬送における基板の損傷を防ぐために重要であった。しかし、本手法においては、超音波搬送ユニット自身にも可動部分が全くないので、給脂やメンテナンスは不要で、かつ長寿命である。また、ユニット化が可能であるので、搬送ラインの拡張変更にも柔軟に対応でき、多品種少量生産ラインにも適用できるため、実用化の可能性も高い。音響粘性流を利用した非接触超音波搬送方法は、一般的な接触式超音波モータと同様の特長をもつ。すなわち、ダイレクトドライブ方式であるので、減速装置が不要であり静粛性が高く、構造が簡単で小型化が容易であり、設計の自由度が高いことが挙げられる。また、磁界の発生が極めて小さく、逆に磁界の影響を受けることがない。