音響粘性力によるディスク回転実験
空気静圧によって浮揚させられた直径95mmの搬送品を模したディスクを音響粘性力により回転させ,ステータの性能を評価した.ステータに周方向に伝播するたわみ進行波を励起すると,ステータとディスク間に音響粘性流が発生し,空気の動粘性によってディスクに回転力が与えられる.ディスクに作用する力が音響粘性力のみと仮定すると,ディスクの回転速度が速ければ,音響粘性力が高いといえる.ディスクはハードディスクドライブから取り出したもので,φ95×t0.8mm,質量15g,表面粗さRa=0.006μmである.実験装置を下図に示す.ディスクは静圧テーブルからの空気静圧によって支持される.また,ディスク外周部に脱落防止ピンとして3個のミニチュアボールベアリングを取り付けた.ディスク上部には隙間Cdsを隔ててステータを設置した.

ディスクに作用する空気の粘性抵抗は回転速度に比例して増加するため,回転速度の立ち上がりは下図(左)に示すような終端速度を持つ応答曲線となる.ステータの振動振幅am=3.8,4.2,4.8μmにおける終端回転速度の測定結果を下図(右)に示す.振幅が大きいほど回転速度が高いことがわかる.また,振幅3.8,4.2μmでは隙間が約160μmで回転速度は最大となり,搬送時には適切なステータ・搬送品間の隙間が存在することがわかった.

回転速度の立ち上がりから回転トルクを算出した.回転トルクは下図のように,振幅amの増加または隙間Cdsの減少によって増加することがわかった.最大回転トルクは,振幅4.8μm,隙間120μmで8.5×10-5Nmであった.
